研究概要 |
ダストの類似物としての微粒子を実際に研究室で合成し、その光学特性や高温での振る舞い等を調べる事で、星・惑星形成過程におけるダストの果たす役割を明らかにする事を目的に、研究を展開した。 最終年度である本年度は、研究成果を公表することに重点をおいた。結果、6報の査読付き論文を公表し、2件の国際会議(内1件は招待講演)、2件の国内会議、4件の国際ワークショップ(内1件は招待講演)、1件の国内ワークショップ等の成果報告を行った。 電子線照射により非晶質シリケイト微粒子が低温で結晶化することを見出し、連星天体が示すシリケイトの高い結晶化率を説明した。本成果はThe Astrophysical Journal Lettersに査読付論文として掲載された。シリケイトの凝縮実験から、質量放出率の大きい晩期星が示す結晶質シリケイトの生成条件と原始太陽系星雲中での結晶質シリケイトの生成過程を示し、The Astrophysical Journalに公表した。多環芳香族炭化水素(PAH)のナノ粒子は、星からの紫外線照射の影響を受け、合成、成長、変成が同時に起こっていると考えられている。その為、紫外線に対するPAHの振る舞いを明らかにする事が重要である。従来のガス中蒸発法による無機微粒子の生成法を応用して、PAHの一種であるアントラセンのナノ粒子生成に成功した。その光学スペクトルを測定して論文としてまとめ、Earth, Planets and Spaceに掲載の運びとなった。
|