研究概要 |
研究代表者がこれまでに研究してきた量子制御理論を応用し,ナノ秒・ピコ秒の時間スケールで誘起される分子内一方向回転状態の生成や,レーザーの位相を利用した回転方向やスピードの制御法を開発した.特に,レーザーパルスの電場によって制御される分子内回転子の運動伝達機構を明らかにした.近年,光によって駆動される分子モーターの研究が国内外で活発に行われている.分子内回転子の制御法を提案し,その運動伝達の機構を明らかにした本研究成果は,ナノマシンの設計・合成へ向けての重要な足がかりとなる. また,熱外中性子散乱実験の解析を目指し,散乱断面積に与える化学結合の影響を明らかにした.各国で大強度陽子加速器(日本ではJ-PARC)の建設がはじまり,熱外中性子散乱による分子ダイナミクスの研究が注目されている.中性子散乱は,分子中の原子核に局所的な撃力を与える最も直接的な手法であり,これにより誘起される分子ダイナミクスに関する知見を深めたことも本研究の成果である.
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