本年度はトリエトキシリル基を有するベンズアルデヒドとその誘導体の合成ならびにそれらの有機-無機ハイブリッドの調製を行った。主な成果を以下に示す。 ■4-トリエトキシリルベンズアルデヒド(1)の性質の解明 これまで化合物1から対応するポルフィリンの合成に成功しているが、収率向上や1の汎用性を明らかにするためそれ自身の反応性について検討した。化合物1は空気中で徐々に酸化され対応する安息香酸を与えるが、その際に自身のブレンステッド酸性によりゾル-ゲル反応が進行することがわかった。これまで化合物1から対応するポルフィリンの合成に成功しているが、収率向上や1の汎用性を明らかにするためそれ自身の反応性について検討した。化合物1は空気中で徐々に酸化され対応する安息香酸を与えるが、その際に自身のブレンステッド酸性によりゾルーゲル反応が進行することがわかった。 ■トリエトキシシリル基を持つベンジリデンイミン(2)および2-フェニルベンズイミダゾール(3)の合成とハイブリッド化 化合物1とアニげンおよびo-フェニレンジアミンの反応を行い、対応する化含物2および3の合成を行った。その際に加水分解性のトリエトキシシリル基を保ちながらの脱水縮合やカルボニル基の酸化を行う必要があった。種々検討したところ、最終的に2を淡黄色油状物、3を無色結晶として単離することに成功した。得られた化合物2および3の水素結合を利用した自己組織化を期待し、塩基性条件下でのハイブリッド化を行った。各種測定の結果、得られたハイブリッドシリカの構造はほぼアモルファスであり、規則的なメソ孔などの構造制御には至っていないが、機能性を持つ有機部分が高密度に導入されていることを明らかにした。
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