研究概要 |
本年度においては,測定装置の立ち上げを中心に研究を行った。当初の予定では,既存の過渡吸収測定装置を改良することによりスピン検出のための偏光過渡吸収測定を行う予定であった。しかし,理論的考察を進めた結果,スピン検出においては,モニター光の進行方向と磁場方向が一致している条件が最もスピン検出が容易であることがわかった。既存の過渡吸収測定装置においては,モニター光と磁場方向が直交しており,このような測定は困難である。そこで新規に時間分解偏光スピン検出測定装置を立ち上げることとした。 まず,磁極に穴があいている磁石を用意した。このような磁石では,磁極方向からモニター光および励起光を照射することができ,磁場方向と光の進行方向を一致させることができる。また,モニター光は非常に安定している必要があるため,XeランプではなくHe-Neレーザーを用いることとした。また,分光器をつかわず直接モニター光を観測することとした。 上記のような測定装置をデザインし,ノイズを取り除くための周波数可変フィルタ,光検出のためのPINフォトダイオード,偏光子,ミラー,およびフィルター等を購入した。また,測定装置をコンピュータ制御するためのプログラムをLabviewを用いて開発中である。しかし,平成19年12月に実験室が移転となり,レーザーの設置,電磁石の移動などに多くの時間が取られたために,測定には至っていない。装置開発を引き続き行い,平成20年度中に安定に測定をおこなえるようにする予定である。
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