1.連続触媒変換による高分子末端と側鎖の直接機能化における一般原理確立 ルテニウム触媒[RuCl_2(PPh_3)_3]にアルミ添加物、塩素型開始剤を組み合わせ、メタクリル酸メチルをリビングラジカル重合した。ここに、連続的にシリルエノールエーテルを添加し、ポリマー末端の塩素をケトンに変換した。このポリマーを単離精製後、2-プロパノール(水素源)/トルエン混合溶媒中、炭酸カリウム(塩基)存在下、RuCl_2(PPh_3)_3触媒と撹拌したところ、末端ケトン基を水酸基へと変換(水素化)できた。このポリマー末端は、種々の官能基(アミノ基、エステル基、アミド基等)へと変換可能であるため、この手法は、末端官能性ポリマーの直接合成のみならず、末端官能性ポリマーの前駆体、更に縮合ポリマーなどの特殊構造ポリマーの合成へと展開でき、極めて波及効果が大きい。今後、条件の最適化により、連続触媒変換(タンデム)による水素化も可能になると考えられ、触媒化学分野においても新たな設計指針を提供するものと期待できる。さらに、アルコールとルイス酸存在下、ルテニウム錯体によりMMAを重合することで、重合と同時にモノマー側鎖をエステル交換し、グラジエントポリマーの合成も検討した。この手法を多段階に組み合わせると、マルチブロックグラジエントポリマーも合成できる。従来グラジエントポリマーは、モノマー反応性の違いの利用、又は異種モノマーの逐次添加法により合成したが、本手法では、豊富な種類有するアルコールを組み合わせることで、無限大のポリマー設計が可能となり、新規グラジエントポリマーの合成法として極めて有用と考えられる。 2.末端機能性ポリマーを用いた新規機能性高分子の創成 上記手法により、両末端水酸基オリゴマーを直接合成し、このテレケリックオリゴマーとジアミンやジイソシアネートを反応させることで、周期的に官能基が配列した縮合ポリマーの合成を検討した。
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