研究概要 |
シリコンをフッ酸溶液中で陽極酸化することで得られる多孔質シリコンを電極とした導電性高分子の電解重合による酵素の固定化について取り組んだ。 1. 中間孔径を有する多孔質シリコンの作製 多孔質シリコンを電極として導電性高分子の電解重合時に酵素を膜に固定化するには、酵素の大きさと拮抗する100nm程度の孔径が最も効果的であると考えられる。電解液としてフッ酸にKMnO4を添加することで中間孔が得られることが明らかとなった。孔径が100nm程度に拡大するメカニズムについて検討し、酸化剤添加によるエッチングの異方性が重要であることを明らかにした。 2. 多孔質シリコン/酵素担持ポリピロール膜の酵素反応中間体検出のための貴金属触媒付与 多孔質シリコン/グルコースオキシダーゼ(GOD)担持ポリピロール膜の酵素反応活性は中間体である過酸化水素を電気化学的に検出することで簡便に評価できる。多孔質シリコンを電極とした場合は、シリコンは過酸化水素の還元に対する触媒能が小さいことから、孔内に貴金属を充填することで触媒核を付与することを目指した。電解条件やめっき液の組成により貴金属の充填挙動が異なり、そのメカニズムについて考察した。Auを多孔質シリコンの孔壁に筒状に製膜した電極を用いて,GOD担持ポリピロール膜の活性を評価すると,平板のAu電極に比べて3倍以上の感度で酵素活性を評価できることが分かった。
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