研究概要 |
前年度に引き続き,光合成活性測定型藻類細胞バイオセンサの開発を行った。固定化担体であるアルギン酸ゲルにカーボンナノチューブを添加することで,藻類細胞の光合成活性応答を2倍程度向上させることに成功した.藻類の光合成による酸素発生を電気化学的にモニタリングし,化学物質に対する毒性試験を行った.除草剤であるアトラジンやDCMUの毒性を4minで評価することが可能になった.作製したバイオセンサの長期安定性を評価したところ,2週間保管した後でも藻類細胞の光合成活性は低下しないことがわかった,これは,センサの実用化に向けて大変意義のある結果である。また,鞭毛藻類であるボルボックスの鞭毛運動が検知可能なセンサシステムを確立した.ボルボックスを,スクリーン印刷で作製したデュアルカーボン電極上に固定化し,走光性による鞭毛運動変化を電気化学的にモニタリングするシステムを開発した.鞭毛藻類は毒物によって正,負の走光性が切り替わる性質を有する.このシステムは,藻類の走光性を利用した新たな毒物センサの構築につながる有意義な結果である。さらに,藻類細胞のアレイ化・フローシステム化について検討した,複数の藻類細胞をアレイ化することで,化学物質の複数の毒性を同時にモニタリングすることが出来るようになると期待される.これらの結果は投稿論文2件,プロシーディング1件,国際学会1件,国内学会1件という形で公表した.国内学会発表においては注目研究に選ばれた.
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