研究概要 |
革新的な次世代型宇宙往還機用のエンジンであるパルスデトネーションエンジン(PDE)において, エアーブリージングモードにおけるドライバーガス使用量の削減が課題である. 本年度は, プリデトネータ出口に設置した反射板の直径がデトネーション波の伝播に与える影響, および円錐形状反射板によるドライバーガス削減効果について実験および数値解析を用いて検証を行った. 反射板径は60〜90mmで変更した. 反射板と燃焼室の側壁との距離は反射板径が小さいほど広くなるが, この距離が最も広くなる条件においても, 水素-酸素をドライバーガスとして用いる場合は, 円筒デトネーション波が燃焼器側壁まで到達し, ドーナツ状デトネーション波の再開始が確認された. 一度再開始したドーナツ状デトネーション波は, そのまま伝播する場合と, 一旦消炎した後反射板裏で再開始する場合, および完全に消炎する場合の3つに分けられることが確認された. ドーナツ状デトネーション波が消炎せず伝播するためには, 円筒デトネーション波の回折によって励起された未燃混合気領域の大きさが強く影響するものと考えられる. また円錐形状反射板を利用した検証において, 円錐角45度以下の円錐形状反射板を利用することにより, ドーナツ状デトネーション波が持続的に伝播する限界条件を改善することが出来る. また, その効果は円錐角が小さいほど大きい. 円錐角15度の反射板を用いることにより, ドライバーガス使用量を従来の円盤状反射板に比べて1/5に削減することが出来る. 以上の2結果を総合すると, 本反射板を用いたPDE用デトネーション開始機構を利用することにより, 大口径燃焼器に対してもドライバーガス使用量を全体の0.7〜1.0%程度に抑えることができる可能性が示された。
|