研究概要 |
機械システムにおける自己同期現象を有効に利用できれば,効率的で環境の変化(パラメータの変化)に対しても柔軟に対応できるシステムを開発できる可能性が高い.本研究では,電圧を印加することで振り子型および回転型の両方の運動を作り出せる自励振動子を用いて,2個の振動子間に生じる自己同期現象の特性を調べた,平成20年度は,まず平成19年度に用いていた実験装置の改良を行い,その装置を用いて以下の結果を得た. 1.同一の印加電圧による実験 2個の振動子を振り子状の台に載せ,同一の電圧を印加したときに発生する自己同期現象の特性を実験的に調べた.その結果,振り子運動では3種類,回転運動では1種類の同期パターンが確認された,振り子運動では,いずれの同期パターンにおいても,印加電圧の増加とともに振動子の振幅が増加し,同期振動数が低下するソフトスプリング性が見られた,回転運動では,印加電圧の増加とともに同期振動数も増加した. 2.系の非線形ノーマルモードとの比較 実験装置に対応する系の非線形ノーマルモードを求め,実験結果と比較した.その結果,実験で発生した現象の特性は,等価な力学的エネルギーをもつ非線形ノーマルモードの特性とほぼ一致することが確認された.また,振り子型の自己同期現象について,片方の振動子の電圧のみを変化させた場合の実験を行い,その結果についても非線形ノーマルモードの特性とよく一致することがわかった.
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