| 研究概要 |
複合材料等の単層カーボンナノチューブの工業的な応用を念頭に入れた場合,他の物質との間の伝熱作用が重要となる.そこで,単層カーボンナノチューブと様々な周囲物質との間の界面に着目して分子動力学計算により伝熱評価を行った.まず,単層カーボンナノチューブと触媒金属や,単層カーボンナノチューブと簡単にモデルした周囲材料に関して,非平衡分子動力学解析を用いて,界面熱抵抗を定量化した.また,界面熱抵抗の周囲材料の相や単層ナノチューブの長さへの依存性も明らかにした.さらに,フォノンモードごとのエネルギー伝達を求めることによって,界面エネルギー伝達のメカニズムを検討た.加えて,界面相互作用による単層ナノチューブのフォノン輸送の阻害効果を評価した.次に,薄膜3ω法を用いて垂直配向単層カーボンナノチューブ膜の基板垂直方向の熱伝導率を実験的に計測した.石英基板上に合成した単層カーボンナノチューブ膜にアルミ電極を蒸着し,交流加熱をすることによって計測を行った.また,膜内の電気伝導や界面熱抵抗等の影響を見積もり,薄膜3ω法の妥当性について検証した.一本あたりの熱伝導率に換算すると,比較的高い平均値が得られたものの,解析で期待される程ではなかった.計測したVA-SWNT膜の物性と電子顕微鏡で観察される構造との相関を基に,欠陥等の影響をより詳細に調べる必要があり,それに向けた解析と実験を併せた研究基板の構築を進めた.
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