本研究課題では、(1)膜結合型メタン水酸化酵素(pMMO)と複合体を形成し、pMMOを安定化するタンパク質pMMO-Rの構造と機能を特定し、(2)pMMO-RによるpMMO活性安定化機構を明らかとすることをめざしている。 平成19年度は、上記(1)を達成するため以下3つの実験を行った。(1)pMMO-Rの単離精製(2)質量分析法によるアミノ酸配列の決定(3)アミノ酸配列から推測されるタンパク質活性の測定。 (1)pMMO-Rの単離精製:メタン酸化細菌を培養し、得られた菌体から各種カラムクロマトグラフィーを用いてpMMO-Rの単離精製を行った。ゲル濾過カラムおよび陰イオン交換カラムによる精製の諸条件を検討し、pMMO-Rを高純度に精製することに成功した。 (2)質量分析法によるアミノ酸配列の決定:pMMO-Rのアミノ酸配列は、メタン酸化細菌由来のメタノール脱水素酵素(MDH)と同じであった。 (3)タンパク質活性の測定:pMMO-RのMDH活性を確認するため、紫外可視吸光光度計を用いてメタノール酸化活性を測定した。その結果、pMMO-Rはメタノール酸化活性を示すことがわかった。 以上の結果から、pMMO-Rは既知タンパク質であり、メタノール酸化活性を示すMDHであることがわかった。これまでに報告されているMDHの構造・機能に関する知見を加味して、MDHがpMMOと複合体を形成することで、如何にしてpMMO活性を安定化しているのかを明らかとすることが今後の課題である。
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