研究概要 |
補助情報が存在する場合のデータ圧縮問題に対して,線形符号を用いて効率的な符号化法を実現するための研究に取り組んだ.本研究では,従来研究の成果を拡張することで,より現実のセンサネットワークの環境に近い理論モデルの下でも,LDPC符号を利用して効率的な符号化法を実現できることを明らかにした.具体的には,以下の成果を得た. 1.補助情報が部分的にしか利用することができない場合問題,すなわち,部分補助情報を用いたデータ圧縮問題にLDPC符号を適用した.そして,提案手法が理論的に最適な圧縮レートを達成できることを証明した. 2.符号化するべきデータの統計的性質を仮定しないという極めて一般的な場合について研究した.そして,LDPC符号を用いた符号化法で,理論的に最適な圧縮レートを達成できることを明らかにした. 3.補助情報を用いた符号化法が補完情報伝送問題にも応用するできることを明らかにした. 特に,上述の2.の結果については,国際会議での発表がIEEE IT Society Japan Chapter Travel Support Award for Young Researchersを受賞した. また研究を進める過程で,歪みを許すデータ圧縮では,レートと歪みの最適なトレードオフを線形符号化で達成することは一般的にはできないことを明らかにした.
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