研究概要 |
固気流動層による乾式比重分離において,これでは粒径範囲の狭い流動化粒子を用いてきたが,実用化の際には低コスト化を目的として分級操作をしていない粒径範囲の広い安価な粒子を用いることが期待される。層内流れを出来るだけ抑制したい点から,流動化強度を弱く設定したいが,流動化強度が弱すぎると,小さな粒径の粒子が上層,大きな粒径の粒子が下層にそれぞれ多く存在する粒度偏析が生じる。このとき,上層の小粒径の粒子は軽いため層膨張しやすいのに対して,下層の大粒径の粒子は層膨張しにくいため,上下層で見掛け比重の差が生じ,分離精度の低下を引き起こすと考えられる。そこで,層内の流動化強度が偏析状態および物体浮沈に及ぼす影響を検討した。 流動化粒子には100-600μmの未分級の砂を用いた。浮沈させる物体として比重が0.96-1.40の範囲で比重間隔が0.02の比重調節球(直径3.75cm)を用いた。流動化強度が弱い場合は粒度偏析が生じることにより,上層と下層で見掛け比重の差が生じた。これにより分離精度が低下した。一方,流動化強度が強い場合は,流動化が激しすぎて物体の浮沈が安定せず,分離精度が低下することが判明した。したがって,未分級の砂を流動化粒子に採用する場合には,偏析と流動化の激しさの両者を抑制可能な適度な流動化強度に設定することが重要であることが明らかとなった。また,これらの知見を生かして,未分級の砂を流動化粒子として廃プラスチックから塩素含有プラスチックの除去を試みた結果,高精度に除去できることが明らかとなった。
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