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2008 年度 実績報告書

繊維直交方向に荷重を受ける集成材ボルト接合部の割裂を伴う場合の強度推定手法の提案

研究課題

研究課題/領域番号 19860061
研究機関秋田県立大学

研究代表者

神戸 渡  秋田県立大学, 木材高度加工研究所, 研究員 (90453000)

キーワードボルト接合 / 集成材 / 割裂強度 / 破壊力学 / J積分
研究概要

本年度は、ボルト接合部の実験とその有限要素解析を行い、その強度推定手法の提案を行うことと、破壊靱性性能を算出するためのスタンダードな方法を提案することを目的として研究を行った。
ボルト接合部の実験では、オウシュウアカマツ・カラマツ・スギを用いて、ボルト径・端距離をパラメータとした実験を行った。その結果、端距離が短いものは脆性的な破壊が見られ、長くなるにつれて、「ほぼ脆性的」、「延性的」と破壊性状が変化していく傾向が見て取れた。また、実験においてき裂発生荷重を確認した所、最大荷重に対しておおよそ0.47〜0.97程度であることが分かった。また、カラマツを対象として、有限要素解析により、破壊性状毎にその耐力を推定する手法について検討を行った。脆性破壊に関しては両側切欠き引張試験の結果から算出される破壊限界応力σc、延性破壊に関しては、き裂発生荷重をCT試験から算出されるJcをクライテリアとして用いることで、検討を行った。その結果、脆性破壊の場合の最大荷重と延性破壊のき裂発生荷重を上記のそれぞれの方法によって、おおよそ推定できることが明らかとなった。
次に、破壊靱性値を算出するためのスタンダードな方法を提案することを目的として、樹種・試験体の厚さ・初期き裂の長さをパラメータとしたCT試験を行った。その結果、破壊性状は、「脆性」「非脆性(本研究の中での定義)」「延性的」の3種類の破壊性状に分類することができた。Merkle等が提案している式を用いて破壊靱性値J_<IC>を計算した結果、試験体パラメータによってその影響を受けることがわかった。その結果、既往の研究成果と同程度の値かつモードIが安定的に得られる状態は、厚さが94mm以下、かつ無次元き裂長さa/Wが0.5以上であることが必要であることが分かった。また一部SEMによる破面観察を行った結果、延性的な破壊をするものは繊維の乱れが少なく破壊性状が見られる一方、脆性破壊の場合は、繊維の乱れが大きいことが分かった。このように、安定的に破壊靱性値を求めるための条件とその条件を満たした場合の破壊性状の相関性が示唆された。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2008

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 構造用集成材木材を対象としたモードI破壊靭性性能の評価方法に関する考察2008

    • 著者名/発表者名
      神戸渡
    • 雑誌名

      日本建築学会構造系論文集 Vol. 73、No. 631

      ページ: 1593-1598

    • 査読あり
  • [雑誌論文] CT試験における構造用集成材木材の破壊性状と破壊靭性値2008

    • 著者名/発表者名
      神戸渡
    • 雑誌名

      日本建築学会東北支部研究報告集 71

      ページ: 139-144

  • [雑誌論文] 繊維直交方向荷重を受けるカラマツ集成材ボルト接合部の破壊特性に関する研究 その5 有限要素解析によるき裂発生荷重の評価2008

    • 著者名/発表者名
      神戸渡
    • 雑誌名

      日本建築学会大会学術講演梗概集 C-1

      ページ: 321-322

  • [学会発表] FEMを木質構造における破壊力学に応用する方法とその問題点2008

    • 著者名/発表者名
      神戸 渡
    • 学会等名
      第104回 生存圏シンポジウム
    • 発表場所
      京都大学生存圏研究所
    • 年月日
      2008-09-03

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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