検索システムにおける従来の研究目的は、上質データの生成、高速処理アルゴリズムの提案といった物質的豊かさが中心であった。人間はシステムのふるまいを意識し予想しながら操作する必要があり、検索過程において思考が妨げられてしまう可能性が高い。そこで本研究では、人間同士の会話のように、入間とシステムがお互いの内的要素を刺激し合い、向上し合えるような精神的豊かさで、コーディネートを支援するシステムの提案を目指した。 検索インタフェースには、人間と情報システムの強い相互作用のモデルに基づき提案したConcentric Ring Viewを応用した。本インタフェースはリング状で、多次元属性情報に対し、リング回転というシンプルな操作により柔軟な検索を提供する。システムの構築にあたり、検索アイテムの切り替えや、コーディネート結果表示など、本インタフェースに追加する機能をスムーズに提供できるよう、操作方法や画面構成について検討した。また、実際のショールーム等でも活用できるシステムを目指し、タッチパネルによる直接操作など、マウスホイールに替わる最適な入力デバイスについても検証した。 評価にあたり、カーテン、壁紙、床材、天井材のデータを利用した内装コーディネート支援システムを体験してもらい、インタビュー調査を行った。気軽に何度でもアイテムを変更できると共に、その結果を瞬時にコーディネートへ反映できるため、ユーザは予想外の結果から発想を広げることが可能となった。また、シンプルな操作による爽快感の提供によって、ユーザは満足のいくコーディネートに出会うまで楽しくシステムを利用し続けられることが確認できた。
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