研究概要 |
自動車エンジン用電磁駆動バルブ用の新型リニアモータの試作を行った。その新型リニアモータは,バルブをより高速に開閉させるために従来のリニアモータより高推力化を実現するものであり,新たな構造を採用したリニアモータである。また,高速な応答を目的としているため,エンジン搭載のための決められたサイズの中で推力定数/可動子質量を最大化することを目的に設計している。その試作を行うにあたり,細部の再設計を行った。具体的には,コイルスペースの形状,可動子サイズの最適化などを行った結果,再設計前と比べ,推力定数/可動子質量を7%向上させることができた。その設計をもとに新型リニアモータの試作を行い,静推力特性を測定した。その結果,リニアモータのストローク端において一部相違があるものの,おおむね設計値と同様となることを確認した。 一方,バルブの位置決め制御系として,可変切換超平面をもつスライディングモードサーボ制御系を用いていた。しかし,高速応答とオーバーシュート低減の点で高い制御性能が得られるものの,構造が複雑であり,また,設計パラメータの調整が困難であるという問題があった。そこで,従来の制御系と同等の制御性能を得られながら構造を簡素なものとした新たな制御系を提案し,バルブの駆動実験からその有効性を確認した。さらに,制御系のエンジン環境下での対外乱性能を評価するための第一歩として,エンジンの振と温度の計測を行った。
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