研究概要 |
機械的性質の異なる幾つかの材料で構成される異材接合体は,高付加価値製品の創出を可能とし,各種産業分野に利用される.しかし,材質の異なる材料を接合する異材接合体における接合界面および接合界面近傍では特異性挙動が発生し,これが材料全体の強度低下や思わぬ破壊を誘引し,近年でもこれが原因の一端となる事故が起こっている. 一方で,インテリジェント材料としての応用も期待される圧電材料における関連する研究は,理論解析および数値解析的には種々行なわれているが,その実験的な検証は十分に行なわれていない.本研究では,解析および実験の両面から特異性挙動を明らかにし,圧電材料を用いた接合体の特異性挙動評価法の確立を目指すことを目的とし研究を行なった. 本年度は,圧電/圧電接合体に対して,特異性オーダー解析を行った.形状(接合角度)と材料定数(圧電定数,弾性係数および誘電率)が特異性オーダーに与える影響について検討し,いくつかの特異性消失条件を明らかにした. また,実験的な検証に使用する圧電材料「富士セラミックス製C-2材」の基本特性を調査し,圧電材料「30×30×40mm」とアクリル樹脂「50×50×25mm」で構成される接合体を製作した.ここで,微小な領域で発生する特異性挙動を効率よく計測するために,スクリーンマスクを用いて圧電体に微小で多数の電極ペーストを塗布した.さらに,いくつかの条件下において,繰り返し荷重を負荷し,接合界面近傍に生じる電圧場の特異性挙動を計測した.その結果,いくつかの特異性挙動を示すデータを確認することができた. 解析結果との比較・検討は来年度の課題である.
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