本研究では、集光点(熱源)からの熱伝導を解析するために、ヘテロダイン干渉計を用いた試料間隙の時間分解計測システムの構築に関する要素技術の開発を行った。具体的には、ヘリウムーネオンレーザー光源(波長632.8 nm)からの光を偏光ビームスプリッターにて2つの偏光成分に分離し、p偏光を80 MHzの周波数で変調されている音響光学変調器に入射した。さらに、s偏光も別の音響光学変調器に入射した。その後、無偏光ビームスプリッターにて両者の光を一部取り出し、偏光板にて偏光方向をあわし、光検出器に入射した。光検出器は和周波、差周波の周波数信号を検出することが可能であるが、光の周波数は極めて高いため、差周波の周波数信号のみをビート信号として検出した。その後、無偏光ビームスプリッターを通過した光を偏光ビームスプリッターにて2つの偏光成分に分離し、p偏光を1/4波長板を通して、測定対象に照射した。その後、1/4波長板を通過しs偏光となった反射光を偏光板に通し、光検出器に入射した。一方、偏光ビームスプリッターにて分離された一方のs偏光は、1/4波長板を通し、参照面に照射した。参照面にて反射された光は、再度1/4波長板を通過しp偏光となる。その後、偏光板を通して、光検出器に入射した。つまり、光検出器では、参照面と物体面からの反射光による干渉信号をとることができた。今後、試料間隙を求めるための処理手法を確立することによって、試料間隙の時系列情報を入手することが可能となり、超短光パルスを用いた本接合法における、集光点からの熱伝導の解析が進むと考えられる。
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