高いひび割れ抵抗性と高じん性を有する短繊維補強モルタルは吹付け工など幾つかの用途に使用されている。本研究では、埋設型枠としてハーフプレキャスト構造へ適用することを念頭に、汎用的に入手可能なコンクリート用細骨材を用い実験を行った。補強用繊維は高強度・高弾性であるポリエチレン繊維を選定し、現在わが国で比較的多く使用されているビニロン繊維との比較で繊維補強モルタルの配合試験、圧縮強度および引張性能試験を環境温度20℃で実施し、その基礎的性状について検討した。その結果、以下の知見が得られた。 (1)ポリエチレン繊維補強モルタルの細骨材としてコンクリート用の海砂を使用しても珪砂を用いた場合と同等の引張性能が得られる。 (2)ポリエチレン繊維で補強した繊維補強モルタルは、ビニロン繊維で補強したものに比べ、高強度領域において優れた引張性能を発揮する。しかし、低強度領域になるとビニロン繊維の方が引張性能は優れている。これは、親水性を有するビニロン繊維の方がマトリックスとの付着強度がポリエチレン繊維より高いためであると推察できる。 (3)水セメント比が30%のポリエチレン繊維補強モルタルは、繊維混入率2.0%でも大きなじん性能を示す。ただし、繊維混入率1.5%の場合よりじん性能は低下する傾向が窺え、モルタル中の繊維の増加による施工性の低下を考えても繊維混入率は1.5%の方が適当である。 (4)環境温度を5℃、35℃と変化させた場合の性状については在確認中である。
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