研究概要 |
本年度に実施した研究内容及び研究成果は,以下の通りである. 1) 液体に接する中空及び中実円筒体の3次元自由振動解析による自由振動特性の把握 現設計法の留意点や問題点を抽出するために必要不可欠である液体に接する中空及び中実円筒体のより正確な自由振動特性を把握するために,申請者が提案しているB-spline Ritz法を用いて,液体に接する中空及び中実円筒体の3次元自由振動解析を実施し,その自由振動特性の一部を明らかにした.その結果,(1)液体に接する厚肉な中空円筒体及び中実円筒体では曲げ振動が基本振動数になるため,曲げに関する自由振動特性の把握が重要になること,(2)液体に接する厚肉中空及び中実円筒体の曲げに関する固有振動数及び固有振動モードは,液体に接していない円筒体の固有振動数及び固有振動モードから推定が可能であること,(3)中空円筒体の厚さが薄く,円筒体が長くなると液体の影響を受けやすいこと,を明らかにした.特に,(2)の結果は,実務者に対して有益な情報である. 2) 実務設計で用いられる古典梁理論及びTimoshenko梁理論の適用範囲 実務設計では,簡便な古典梁理論やTimoshenko梁理論が用いられるが,これらの理論の適用範囲が明確にはされていない.そこで,液体に接する中空及び中実円筒体の自由振動問題における古典梁理論とTimoshenko梁理論の適用範囲について明らかにした.その結果,(1)円筒体の厚さ,長さ及び液体の高さに係わらず,Timoshenko梁理論は3次元弾性論の代替として十分に使用できること,(2)古典梁理論は,円筒体の長さが十分に長い場合であれば,3次元弾性論の代替として適用可能であること,を明らかにした.したがって,予備設計段階においては梁理論による検証が可能であると言える.
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