研究概要 |
プラズマとレーザー照射の相乗効果に着目し,タングステンに加えミラー材として有望視されているモリブデンを照射材料として使用し,ダイバータ模擬装置NAGDIS-II(名古屋大学)において実験を行った。レーザーを用いたアブレーションを、高速カメラとフィルタを組み合わせたフィルタ分光法を用いて調べた。損傷なしのタングステンではレーザーパワーが1J/cm^2以下ではレーザーを照射しても発光が観測されないが,ヘリウム照射を行ったタングステンでは0.2J/cm^2を超えるとレーザー照射に伴い発光が観測され,ヘリウム照射損傷によりアブレーションのレーザーパワー閾値が著しく減少することが明らかになった。レーザー照射に伴うヘリウムホール・バブルの破裂がその原因だと考えられる。ヘリウム照射中の光学的な反射率の計測(単波長でin-situ,照射前後の波長依存性)を行い,入射イオンエネルギーを上昇させると反射率の低下時間が著しく減少することが明らかになった。電子顕微鏡を用いて表面構造の変化を調べると,入射イオンエネルギーが15eVのときは、ヘリウムバブルやホールが形成されていたが、50eVのときは繊維状ナノ構造が形成され,著しい反射率減少が引き起こされていることが明らかになった。より詳細な実験より,ナノ構造形成に必要な条件は試料温度が約1000-2000Kであり、入射ヘリウムイオンエネルギーが約30eV以上であることが明らかになった。
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