研究概要 |
全体の基礎的となる実験として表層及び内層の細胞運命を明らかにした。具体的には胞胚期に胚の表層を構成する細胞だけを生きたままビオチンラベルし(Keller, 1975; Minsuk and Keller, 1997)、尾芽胚またはおたまじゃくし期まで培養後、可視化した。またこの胚を組織科学的に解析し、表層にあった細胞がどのような組織、器官、臓器に分化したかを確かめた。これにより胞胚期の表層または内層に位置することがその後の細胞の運命においてどのような意義を持つのかが明確になった。これまでの研究で表層の細胞は内層の細胞と比較して初期の遺伝子発現がまったく異なることがわかっているためこの点をしっかり抑えておくことが非常に大事であると考えている。 次に内胚葉の表層特異的発現をしめすXnr2の発現調節領域を含むプロモーターをクローニングし、これをEGFPと連結して表層特異的EGFPトランスジェニックガエルを作製した。しかしながらこのプロモーターは転写活性が弱く観察には適さないことがわかった。このため蛍光ラベルした細胞の移植実験によってこれを補うことを決定した。さらにDNAアレイを用いて初期胞胚において遺伝子発現の表層と内層の発現レベルの異なる30個の遺伝子を特定した。この解析によって発見された遺伝子の機能を解析していく予定である。この中にはxBEST2遺伝子があり、この遺伝子についてはすでに国際誌に発表した。
|