研究概要 |
植物において、small RNAの約7割をしめる23,24ntほどのchromatin-associated small interfering RNA(casiRNA)は、ゲノムDNAのメチル化に関与することがわかっている。ゲノムDNAのメチル化は遺伝子の発現を抑制すると考えられている。本研究では、ストレス応答に関与するcasiRNAおよびそれらのcasiRNAによって制御を受ける遺伝子を同定し、その役割やメカニズムの解明を目的とする。 RNA dependent RNA polymerase 2(RDR2)遺伝子の変異体rdr2では、casiRNAの蓄積がなくなることがわかっている。また、casiRNAが関与するDNAメチル化を行うと考えられている3つのメチル化酵素遺伝子の3重変異体ddc(drm1drm2cmt3)では、いくつかのcasiRNAの蓄積およびゲノムDNAのメチル化が減少することがわかっている。乾燥ストレス下においてcasiRNAによって発現制御を受ける遺伝子を同定するために、乾燥0,2時間目に野生型植物、rdr2変異体およびddc変異体からRNAを抽出し、全ゲノムタイリングアレイ解析を行った。rdr2のアレイデータのみデータ処理が終了した。その結果、野生型と比較して、rdr2変異体においていくつかの遺伝子の発現が特異的に増加していることがわかった。現在、ノーザン解析法を用いてアレイデータの検証を行っている。同時にddc変異体におけるアレイデータの処理を行っているところである。
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