20年度予定の研究調査を、チュニジア共和国の研究協力者確保の関係やチュニジアの高等教育省より許可を得る関係上21年度に実施した。ただし、ASTER人工衛星画像が2008年5月より植生解析に重要なセンサーが不具合により使用不能に陥ったため、当初予定していた調査と同期した衛星画像の観測が不可能となった。よって、地上調査解析に重点をシフトし、将来的に他の衛星画像にて植生解析できるためのデータセットを作成した。 また、調査計画策定や暫定的な植生解析のために調査時期と異なる過去の衛星画像を前年度購入して簡易解析をしたが、季節が異なるために当初予定していた手法では満足な結果が得られなかった。また、それ以外の衛星画像解析までは時間が足りなかった。 2年間の地上調査によって、チュニジア共和国の半乾燥地・乾燥地のカッセリーン県~ガフサ県までの約1100km^2で26区画の植生調査を実施し、各地域に分布する代表的な植生を網羅的に把握することができた。また、各区画のバイオマスなどを数値解析するためにアロメトリー式を19個作成した(刈り取り調査ができず、文献からもアロメトリーが把握できていないものもある)。ただし、これらの区画数では広域の場所を衛星画像解析するために必要なデータ数ではないため、現状では概要把握ができる程度であった。 上記のように、突発的な事態と途上国での作業が先進国並みにスムーズにはいかなかったため、当初の研究計画を全て完遂することができなかった。今後は無理のない計画で必要な地上調査データを取得するとともに、解析に充分な時間を割り当てて、必要な成果を得ることに勤めるべきと考えられた。
|