植物は、乾燥や高塩濃度といった過酷な環境ストレス植物ホルモンの1種であるアブシジン酸(ABA)を合成し、シグナル伝達を介してLEAタンパク質、適合溶質である糖やプロリンの合成酵素などを発現し、ストレス耐性を獲得している。シロイヌナズナを用いてABAの初期応答に関わる転写因子であるABA Responsive Element Binding Protein(AREB)のストレス時における応答経路について研究を行った。低温、高温、活性酸素等の様々なストレス処理の中で、乾燥ストレスが最もAREBを活性化する事が明らかになり、浸透圧ストレス応答に関わるABA、マンニトールおよび塩などのストレス処理によってもAREBが活性化する事が確認できた。乾燥ストレス処理後15分ですでに活性が見られ、その活性の大部分を根が占めている事を明らかにした。これらの結果より乾燥ストレス応答初期において、根が最も重要であり、さらにAREBの活性は経時的に増加して行くことから、根で乾燥ストレスを受容し、植物全体にシグナルを輸送している可能性が示唆された。
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