研究概要 |
本研究は、膨大な未利用資源である縮合型タンニンの高度利用技術確立の一環として、縮合型タンニンの酸化分解によりカテキン等を得て、さらにカテキン分解微生物の代謝機能を用いて有用物質に変換するシステムの構築を目的としている。前年度までの結果で、これまでに報告が殆どなかったカテキン分解微生物の単離に成功し、その分解がロイコシアニジン、タキシフォリンを経由する代謝機能によって行われていることを明らかにした。今年度は、森林酸性土壌から得られたカテキン分解菌の詳細な同定とカテキン分解機能をコードする遺伝子の単離を目的として研究を行った。16srDNA配列決定及び詳細な生理・生化学的同定解析を行ったところ本菌は、グラム陰性桿菌、不動、無胞子、好嫌気性、主たるユビキノンがQ-8、主たる脂肪酸組成がC_<16:0>,C_<17:0>cyclo,C_<18:1>ω7cでありまた、ペントース、ヘキソース、オリゴ糖を含む多くの炭水化物を代謝できない代わりにカテキンの他多くの芳香族物質を代謝できることが明らかとなった。また、ゲノムの特徴としてはG+C含量が64mol%で、DNA-DNAハイブリダイゼーションにおいては近縁とされた種とは相同性が低いことが明らかとなった。以上の結果から、新規カテキン分解細菌をBurkholderia oxyphila OX-01と命名し、新種提唱を行った。また、カテキン分解遺伝子を獲得する為にOX-01株のゲノムライブラリーとミュータントライブラリーを作成し、カテキン分解相補実験により、カテキン分解に必須な機能をコードする遺伝子断片の獲得に成功した。今後、OX-01株のカテキン代謝機能を遺伝学的・酵素学的に詳細に解析することにより、樹皮タンニンの高度利用技術確立に大きく貢献できると考えている。
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