研究概要 |
本年度はfMRI実験に用いる課題の最適化を行うため,健常者10名に様々な情動覚醒度を有する写真の情動評価および再認課題を施行した.女性は男性に比して情動覚醒度を有意に高く評価していたが,男性のほうが女性に比して情動による記憶増強効果が強い傾向があった.また先行研究で再認課題においては情動による記憶増強効果が得られにくいとされていたが,記銘と再認の間の期間を1週間と長めに設定したところ情動覚醒度の高い写真は,情動覚醒度の低い写真に比して有意に再認成績が良好であった.これらの結果に基づいてfMRI実験の被検者の選択および課題の修正を行っていく予定である. 本年度は上記の実験と平行して,アルツハイマー病患者において抗コリンエステラーゼ薬(アセチルコリン賦活薬)の投与が情動記憶にどのような影響を与えるかについて検討した.さらに対象者を増やして検討を続けていく予定である.また脳幹ドパミン神経核の選択的損傷の症例について詳細な神経心理および神経画像的検討をし,その情動,認知の障害の特徴について明らかにした(Nishio Y, et. al.2007).
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