心臓や脳は、梗塞や梗塞後の血流の再開によって障害をうけるが、その機序に関しては解明されていないことが多い。今回、臓器の血流の停止・再開という現象を、細胞を使った虚血・再灌流という実験で擬似させて、細胞死の機序の解明を行った。その結果、細胞内の脂質が過酸化されると細胞死が起こることから脂質過酸化と細胞死が関連していることが示唆され、細胞死と脂質過酸化は虚血の間に発生することが明らかとなった。また数種の電子伝達系阻害剤を添加すると様々なパターンで脂質過酸化と細胞死を抑制し、電子伝達系が脂質過酸化と細胞死に密接に関連していることが示された。この結果は、科学雑誌に採用された。さらに、細胞中のどのような脂質が過酸化を受けているかを調べたが、容易に結果を得ることは困難であり、今後、検出方法など改良を加え検討を続けていく。
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