研究概要 |
本研究の初年度である平成19年内には,在宅介護支援センター,地域包括支援センター所属のケアマネジャー(介護福祉士,社会福祉士,薬剤師,管理栄養士,生活相談員)24名に,専門的行為の抑制をもたらしたモラルディストレスの経験について半構成的インタビューを行った.そのうち家族の要因に焦点をしぼった結果を平成20年9月に目本家族看護学会第15回学術集会にて発表した。今年度はそれらの結果をもとに,「ケアマネジャーに倫理的ジレンマをもたらす要素の検討に関する調査」として質問紙を作成し全国調査を行った.質問内容はケアマネジャーの属性のほかにケアマネジャーとしての経験24項目,ケマネジャーとしての思い18項目,ケアマネジャーとしての行動38項目,ケアマネジャーのストレス26項目である.福祉保健医療情報ネットワークシステム(WAMNET)から全国の居宅介護支援事業所を検索し層化法により1,000ヶ所を抽出し,郵送による無記名自記式調査を実施した.回答数は544票(回答率54.4%),ケアマネジャーの所属事業所(複数回答有)は,居宅介護支援事業所521名(95.7%),在宅介護支援センター37名(6.8%),地域包括支援センター8名(1.5%),事業主体は社会福祉法人148ヶ所(27.2%),医療法人147ヶ所(27%),株式会社68ヶ所(12.5%)であった.属性として男性103名(18.9%),女性435名(79.9%),年齢50代181名(33.3%),40代171名(31.4%),30代132名(24.3%),経験専門職(複数回答有)は介護福祉士265名(48.7%),看護師137名(25.2%),ホームヘルパー121名(22.2%),ついで相談員,社会福祉士,歯科衛生士,栄養士と多岐にわたっていた.ストレスに関しては「制度の改正で振り回されるのは腹が立つ」67.4%,「家に帰ってからも仕事ことが頭から離れない」50.3%,「ケアマネジャーとして力不足を感じる」54.4%,「利用できるサービス提供者に限りがある」48.9%,「疲れてぐったりすることがよくある」47.0%の割合で「いつも」あるいは「しばしばそう思う」と答えていた.
|