研究課題
C57BL/6マウスの骨髄細胞を採取後、EACSAriaを用いた細胞分離により造血幹細胞分画(cKit+Sca1+Lin+)、骨髄球系共通前駆細胞分画(cKit+Sca1-Lin-CD34+CD16/32low)、顆粒球マクロファージ前駆細胞分画(cKit+Sca1-Lin-CD34+CD16/32+)を単離した。細胞株pLAT-EにレトロウイルスベクターHes1をトランスフェクション後、48時間後に上清を回収した後、細胞皿にコーテイングしたレトロネクチン上で単離した細胞および上清を48時間インキュベミート後に細胞を回収した。半固形培地で培養したところ、Hes1導入細胞では継代が可能であり、in vitroでの細胞の不死化が観察された。不死化した細胞のサイトカイン依存性について調べたところ、IL3依存性であった。次に、in vivoでの白血病の発症の有無を調べるため、致死量の放射線を照射したマウスへ移植した。経時的にマウス末梢血を解析、GFP標識蛋白の発現を指標として白血病化の有無を調べた。Hes1単独の導入によっては、白血化は観察されなかった。マウスの白血病モデルにおいても多くはセカンドヒット、すなはち第二の変異が加わってから白血病を発症することが知られる。In vitroのHes1導入細胞でIL3依存性であることから、IL3下の重要なシグナルである活性化STAT5を同時に導入したが、白血化は観察されなかった。このことから、骨髄前駆細胞へのHes1単独の導入により、in vitroでの不死化には十分であるが、in vivoでの白血化には不十分であり、白血化には活性化STAT5以外の第二の変異が必要であると考えられた。
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Proc Natl Acad Sci USA (掲載確定)
Pigment Cell Melanom Res 21
ページ: 70,78