研究課題
【背景・目的】私達は、子宮運動により子宮内膜にもたらされた機械的刺激が、子宮内服において生化学的シグナルに変換されることをこれまで示し、それが子宮内膜症の病態形成に深く関わることを、特に炎症を例にとり示して.きた。本年度の研究では前年度までのin vitroの結果をモデルマウスを用い、検討した。一方、近年生体内におけるストレスの一つとして、機械的刺激に加え、小胞体ストレスが注目されてきている。小胞体ストレズの、子宮内膜症の病態における役割についても併せて検討した。【方法】機械的刺激の、in vivoでの検討には、子宮内膜症モデルマウスを用いた。ドナーマウスより採取した子宮内膜に伸展刺激を加えた場合と加えなかった場合で、レシピエントマウスでの病変形成を比較した。小胞体ストレスの検討においては、同意を得たうえでヒト子宮内膜症性卵巣嚢胞より子宮内膜症性間質細胞(ESC)を分離し、TRAIL(tumor necrosis factor-related apoptosis inducing ligand)誘導性アポトーシスにおける、tunicamycin(小胞体ストレス惹起物質)の影響について検討した。【結果】機械的刺激を付加された子宮内膜により、形成される病変数、癒着スコアは有意に上昇した。Tunicamaycinは、TRAILによるESCのアポトーシスを促進し、またTRAIL受容体DR5の発現も促進すること、DR5の発現抑制によりその効果が失われることから、その機構として、DR5の関与が考えられた。【結論】機械的刺激が子宮内膜症の病態に関わっている可能性がin vivoにおいても示唆された。また小胞体ストレスも病態において重要な役割を果たす可能性が示され、さらにTRAILとの組み合わせにより新たな治療法の可能性が示唆された。
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