研究課題
Triggering receptor expressed on myeloid cells (Trem) familyは、細胞質外領域に一つのV-typeイムノグロブリン様ドメインと短い細胞質内領域を有する分子として知られている。これまでの研究によりこの分子群は、ある種の細胞の活性化状態を正もしくは負に調節することが示唆され、中でもTrem1はToll-like receptorリガンドとsynergyを示すことが報告されている。また、多くのTrem family分子は細胞膜ドメインにリジン残基を有し、Immunoreceptor Tyrosine-based Activating Motif (ITAM)を有するDAP12と介合しシグナルを伝えることが知られている。現在までにその機能や生体内での役割について研究が行われているが、未だ不明な点も多い。我々は、樹状細胞サブセット間のmicroarray analysisにより新規Trem様分子を同定し、樹状細胞サブセットやある種のマクロファージに特に発現していることを見出しておりその機能の解明を目指している。本年度の研究活動において、この分子がマウス各種臓器にどのように発現しているかをreal-time PCRにて検討を行った。その結果、mRNAの発現は特に脾臓において強く認められ、他には骨髄細胞やリンパ節などに若干の発現を認めた。このことから、この分子分布は、樹状細胞など免疫系の細胞に限局していることが示唆された。さらに、この分子が、他の多くのTrem family分子と同様にDAP12に会合するかどうかを検討した。方法としては、HEK293細胞にそれぞれの分子を過剰発現させ、co-immunoprecipitation assayを行った。その結果、他のDAP12様の分子であるDAP10やFcRγといった分子との介合は認められなかったが、DAP12との介合のみ認められた。このことから、新規分子がアダプター分子DAP12を介してそのシグナルを細胞内へ伝達していることが示唆された。
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lmmunol Rev. 220
ページ: 183-198