成ラット胸髄に血管クリップを用いた圧挫損傷モデルを作製し、損傷6週で損傷脊髄部分に培養したFGF2反応性神経前駆細胞の移植を行った。その結果、GFP遺伝子導入の細胞移植群(対照群)より、NT3とBDNFの作用を持った改変NT3をさらにp75受容体に結合しにくい構造に改変した神経栄養因子遺伝子を導入した細胞移植群のほうが後肢運動機能の改善を認めた。移植細胞の生着は、対照群と比較して栄養因子導入細胞で1.8倍高く残存ミエリンも多かった。脊髄損傷慢性期での細胞移植は、細胞単独では機能回復に不十分であり本研究のように神経栄養因子を組み合わせた治療が必要なことが明らかとなった。
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