平成20年度は以下の研究を行った。 (1)腱板断裂における層間剥離の病態解析 断裂をともなう解剖標本を用いて、層間剥離の存在部位を肉眼的および組織学的に検討した。この結果を用いることにより、解剖学的な修復方法を提示することが出来る。 (2)棘下筋横走部の神経支配 棘下筋には横走部と斜走部が存在するが、横走部には腱性部がほとんど存在しないことを明らかにした。同時に横走部の神経支配は肩甲上神経が棘上筋と棘下筋の間を表層にぬけた後、表層部より横走部を支配していることを明らかにした。 (3)関節上腕靭帯の組織学的検討 関節上腕靭帯は、肩関節の安定化に重要な構造であるといわれているが、その中でも上関節上腕靭帯の構造や機能に関しては不明な点が多い。我々は上・中・下の上腕靭帯を肉眼的および組織学的に調査を行い、上関節上腕靭帯は組織学的には靭帯構造を呈しておらず、中および下関節上腕靭帯とは性質の異なるものであることを明らかにした。 (4)胸鎖関節の構造解析 胸鎖関節は肩鎖関節とともに肩の挙上運動において、非常に重要な役割をするといわれているが、詳細に調査は過去に見られない。われわれは胸鎖関節における靭帯構造に注目し、その発達度合いによって胸鎖関節の分類を行った。
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