本研究の最終的な目標は、歯根膜細胞を移植用にシート状にした「歯根膜シート」の石灰化能の向上を目指すことであ。レーザー光の低エネルギー領域には、bio photo-modulation effectがあることが知られており、そのメカニズムの解明と、それを応用した歯根膜細胞の活性化を図るものであ。歯根膜細胞がheterogenousてありことに注目し、使用する培養歯根膜細胞中に含まれている骨芽細胞様細胞の石灰化がどのような照射条件のレーザー照射により促進されるかについて検討を行った。そのため、まず本研究で使用するエルビウム・ヤグレーザーが培養液中の細胞に均一に規定レベルの光エネルギーを照射するたもの実験装置の設計、および培養液の条件設定を行い、指摘と考えられる環境条件を得ることができた。骨芽細胞に照射することにより、形態の著しい変化を伴わず、増殖が促進される傾向が示された。歯根膜細胞はheterogenousであり、骨芽細胞様の細胞も含んでいるため、これまでの骨芽細胞への様々な低出力レーザー照射の効果と同様に、歯根膜細胞の石灰化が促進されることが推測された。 照射条件検索においては、従来よりも高いパルス数によるレーザー照射が含まれている。そのため、高パルスのレーザー照射が生体に与える影響についても十分な検索が必要なため、イヌの歯肉、歯槽骨を用いたin vivoの研究を行い、病理学的に為害性がないことを確認した。パルス数の上昇が生体組織に熱蓄積による悪影響を及ぼしにくいことが軟組織および硬組織において確認された。 今後は、臨床的に許容される至適照射条件(パルス数、時間、エネルギー密度)の検索と、大型動物における研究が必要と考えられる。
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