昨年度は骨肉腫、滑膜肉腫などの骨軟部腫瘍培養細胞のオーロラの過剰発現の検証や、オーロラA、Bプロモータ部分を、滑膜肉腫細胞(Cell line Fuji)に導入した際のオーロラの相対的活性化度の検証を行い、オーロラの過剰発現を証明した。また線維芽細胞腫細胞(Cell line HT1080)にSYT/SSX1を導入したところ、同様に有意に活性化の上昇を認めた。そのため今年度は、SYT/SSXとオーロラキナーゼAおよびBとの関連をさらに検証すべく、SYT/SSX1+93(SYT部分が通常より+93の塩基配列を有する滑膜肉腫細胞)とSYT/SSX1-93(通常の滑膜肉腫細胞)、SYT1、SYT2の4種類におけるオーロラA、Bプロモーターによる転写活性を検証した。その結果、4種類すべてにおいて、A、Bともにコントロールと比較して、有意な活性上昇を認め、特にSYT/SSX1+93が高い活性度を示した。次いでSYT/SSX1蛋白がどこに結合、活性化をするのかを検証すべく、さまざまな長さのオーロラA、Bプロモータープラスミドを作成し、同様の検証を行った(deletion study)。結果、オーロラAでは、-124と-75の間で、オーロラBでは-104から-74で有意な活性の低下を認め、ここに何らかの転写因子の結合物質があることが判明した。今後、オーロラA、Bともにこの部分にmutantをかけたプラスミドを作成し、活性化が消失することを確認する予定である。また、SYTSSX2をもつ滑膜肉腫細胞(Fuji)に対してSiRNAを作成して導入したところ、STY/SSXの発現減少を認めた。今後は、SYTSSX1を持つ滑膜肉腫細胞(HSSY II)に対するSiRNAを用いて発現の検証、濃度を変えて同様の実験を行うDensity gradient studyなどを行っていく予定である。またマウスに導入すべくSYT/SSX1のサブクローニングも進めていく予定である。
|