悪性骨軟部腫瘍は小児に高頻度で見られ、現在でもなお生命予後不良で治療へむけた研究は大きく遅れている。一方、オーロラキナーゼは細胞分裂の多くの過程に関与し癌組織でも観察されるため、オーロラキナーゼと腫瘍関連遺伝子、特にSXT/SSXとの関連を追及することが本研究の目的である。まずは骨肉腫、滑膜肉腫などの骨軟部腫瘍培養細胞のオーロラの過剰発現の検証、オーロラA、Bプロモーター部分を、滑膜肉腫細胞(Cell line Fuji)に導入した際のオーロラの相対的活性化度の検証を行い、オーロラの過剰発現を証明した。次いで線維芽細胞腫細胞(Cell line HT1080)にSYT/SSX+93(SYT部分が通常より+93の塩基配列を有する滑膜肉腫細胞)とSYT/SSX-93(通常の滑膜肉腫細胞)、SYT+93、SYT-93の4種類のプラスミドを用いてルシフェラーゼアッセイを行い、オーロラA、Bともに、すべてのプラスミドにおいて(特にSYT/SSX1+93が)有意な相対的活性上昇を認めた。またdeletion studyにおいて、オーロラA、Bプロモーターともに一定の場所で有意な活性低下を認め、そこに何らかの転写因子の結合部位があることが示唆された。さらにSYTSSX-93をもつ滑膜肉腫細胞(Fuji)に対してSiRNAを作成して導入したところ、STY/SSXの発現減少を認めた。一方、マウスに導入すべく、SYT/SSX+93をテトラサイクリンで発現コントロールが可能なベクター(pTREhyg2)に組み込んでプラスミドを作成している。
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