平成19年度に続き、化合物の評価、動物を用いた検討を行うべく、大量標識合成について検討した。昨年度、目的である多剤耐性腫瘍をターゲットにしたイメージング剤を合成するために、基本ペプチド骨格の合成、置換基誘導を行い、過去に報告の文献、資料をもとに、分子量、脂溶性などから化合物の選定を行った。この結果、一つのペプチド性化合物を母体骨格とし、目的化合物のGSH誘導体の構造は、既に決定している。また、昨年より、第一段階として、SPECT核種である^<125>Iを用いた標識を試みてきた。しかしながら、標識後、このGSH誘導体は、副生成物および原料からの分離精製が非常に困難であった。そこで、単離方法確立のため、さらに条件検討を進めている。時期を同じくして、他のプロジェクトにおけるペプチド誘導体の精製に用いているHPLC用カラムが、本研究のペプチド誘導体の単離精製に有用な可能性を見いだしつつあるため、現在、これを用いた検討を試みている。 一方で、所属研究室において、マウスへの腫瘍移植のプロトコールが確立できており、目的ペプチド誘導体を分離精製が出来次第、腫瘍移植マウスに投与し、化合物の腫瘍への移行性を行う。腫瘍への移行性を検討するにあたっては、本学所有の小動物用SPECT装置を用いる予定である。本来の目的は、多剤耐性腫瘍に特異的に集積する放射性イメージング剤の開発であり、上述結果を踏まえ、引き続き検討を続ける予定である。
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