研究概要 |
研究の全体構想は,喉頭がんのために喉頭全摘出術を受けた患者が,喉頭全摘出術に伴い,日常生活においてどのような困難体験をしているのか,その困難体験に対してどのように対処しながら術後の生活を再構築しようとしているかについて明らかにし,今後喉頭がんのために喉頭全摘出術を受け,術後の症状に伴い日常生活に困難を抱えた患者への具体的,実践的な看護援助への示唆を得ることである。術後6ヵ月から1年が経過し,自宅で生活をしている対象患者9名に,インタビューガイドに基づいた半構成面接を行い,Krippendorff,Kの内容分析の手法で,個別分析,全体分析を行った。患者は全て男性で,平均年齢66.6歳,平均術後経過年数9.2ヶ月であった。分析の結果,12のカテゴリーと32サブカテゴリーが抽出され,喉頭がんのために喉頭全摘出をうけた患者の困難体験として,【声失に伴う意思疎通困難】【代用音声獲得への期待と獲得の断念】【術前のように暮せないもどかしさ】【頻回の痰の流出が日常生活にもたらす影響】【手術がもたらす排便機能への影響】【気管孔造設に伴う入浴への影響】【気管孔からの異物混入の恐怖】【社会からの孤立化】【予想をはるかに超えて苦痛と化した摂食行動】【手術操作による臭覚の喪失】【長期間持続する術後症状がもたらす日常生活への影響】【患者を支える社会システムが充実していないことへの不満】が明らかとなった。今後,面接調査を進め症例数を増やすどともに,これらの困難体験に対する患者の対処法についても分析を進めていく。
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