研究概要 |
救急外来における看護職者のDV被害者に対する支援方法を検討することを目的に,平成19年度は,救急外来で働く看護師に対する質問紙調査を行い,DV被害者等を支援する市民団体の活動に参加した。以下にその概要を述べる。 1.救急外来で働く看護師に対する質問紙調査 東海地方にある病院の救急外来で働く看護師を対象に,DVに関する認識,DV被害者の遭遇経験とその対応,DVに関する研修、教育経験等について質問紙調査を行った。41施設942名に質問紙を配布し,728名より質問紙が返送された。その結果,約6割の看護師がDV被害者との遭遇経験があり,DV被害者、付き添ってきたDV加害者の対応や関係機関との連絡、通報等に困難を感じていることが明らかになった。先行研究と比較しても,DV被害者との遭遇経験が高く,救急外来はDV被害者が受診しやすい場であることがわかった。 2.DV被害者等を支援する市民団体の活動への参加 DV被害者等を支援する市民団体が月1回行っている定例会に参加し,DV被害者や支援者との情報交換、交流を行った。多くの参加者が,インターネットで活動を知りこの会に参加していた。定例会は,DV被害者が自身の悩みや体験を話すだけでなく,他の参加者の悩みや体験を聞く場となっており,孤立しがちなDV被害者のDVに関する知識や情報を得る場となっていた。 平成20年度は,救急外来で働く看護師に行った質問紙調査結果の分析を進めると共に,DV被害者の相談に携わっている女性相談員へのインタビュー調査を行う予定である。
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