救急外来における看護職者のDV被害者に対する支援方法を検討することを目的に、平成20年度は、平成19年度に行った救急外来で働く看護師に対する質問紙調査の分析とDV被害者の相談業務に携わっている支援者へのインタビュー調査を行った。以下にその概要を述べる。 1. 救急外来で働く看護師に対する質問紙調査 救急外来に勤務する看護師を対象に、DVに関する認識、DVに関する研修や教育、DV被害者の遭遇経験等について郵送法で質問紙調査を行った。その結果、41施設942名に質問紙を配布し728名(回収率77.3%)より質問紙が返送された。対象者の平均年齢は40.8歳であった。DVという言葉やDV防止法があることはほとんどの者が知っていたが、看護基礎教育でDVに関する教育を受けたり、DVに関する研修に参加している者はまだ少なく、情報源はテレビ、新聞、雑誌等であった。また、約6割の者にDV被害者との遭遇経験があり、DV被害者が自ら話したことで被害が発覚していることが多く、救急外来の性質からその被害の多くが身体的暴力であった。DV被害者が受診した際の対応方法が決まっている施設はまだ少なく、今後救急外来での支援を充実していくために対応マニュアルの必要性が示唆された。 2. DV被害当事者支援に携わっている支援者へのインタビュー調査 DV被害者の相談業務に携わっている支援者にインタビューを行った。支援者達はDV被害者の揺れ動く気持ちを理解して共感する態度で接し、DV被害者が今後の生き方を自分自身で決められるよう自己決定を促す関わりを行っていた。
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