研究概要 |
歯科における切削騒音が愚者に不快感を与えている現状改善のために,本研究課題では,歯科切削騒音の音響学的特徴による主観的に認知する不快感への影響について解明することを目的とし,将来的に新たな騒音低減デバイスの開発につなげようとするものである。これまでに,国内外の14機種の主要な歯科用エアタービンハンドピースを対象とした広帯域周波数解析を行い,歯科用エアタービン音には可聴域を超え高い音圧レベルの周波数成分が含まれること,また,可聴域において突出した特徴的な周波数成分を有することを明らかとしている。これらの音響額的特徴と主観的な印象である不快感との関係を客観的に評価するために,本年度は,騒音レベルおよび音質の加工を行った歯科用エアタービンの発生音を用いた心理評価実験を実施した。音の大きさの印象は,騒音レベルを65dBまで低減により小さい音として評価された。一方,不快でない音にするためには,空回転(無負荷条件)では60dB以下に,切削音では35dBまで低減しなければ印象の変化が認められないことが分かった。さらに,多変量解析を行った結果,不快な感情は,音響パラメータである等価騒音レベルだけではなく,さらに,シャープネスおよび変動強度を加えた予測モデルと強い相関が認められた。その結果,騒音レベルの低減だけでは対策として不十分であることを示し,シャープネスや変動強度への対策が歯科切削音による不快感軽減に必要不可欠であることを明らかにした。これらの成果は今後効果的な新規デバイス開発に応用できるものである。
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