本年度は、交付申請書に記載した目的1)に沿い、主として飲酒運転の経験をもつアルコール依存症者およびその家族を対象としたインタビュー調査を準備し、実施した。 1 インタビュー調査: アルコール依存症からの回復を目指すセルフヘルプ・グループである断酒会の会員およびその家族を対象とし、非常に個人的な内容を聞き取るため、準備段階では、本研究の倫理的問題について検討し、本学保健学倫理委員会の審査を受け、平成19年11月に承認を得た。また、同月、協力を得る(社)大阪府断酒会の会長に研究計画書を渡し、研究の趣旨を説明し承認を得た。 平成19年12月より調査を開始し、平成20年3月10日現在、アルコール依存症当事者6名、家族2名の計8名へのインタビューを実施した。今後、逐語録の分析を進めると同時に、インタビュー調査を継続していく予定である。また、アルコール依存症者の語りから、我が国の飲酒規範についてまとめ、発表した。 2 飲酒運転抑止策の現状についての情報収集: 1と並行して、現在我が国で提唱・実践されている飲酒運転抑止策を把握するため、関西アルコール関連問題学会等での情報収集や、MADD Japan(飲酒運転事故被害者遺族による市民活動団体)関係者への聞き取りによる情報収集をおこなった。とれを布石として目的2)の調査および分析を次年度より行なう予定である。 3 本年度の研究の意義: これまでのインタビュー調査から、常習飲酒運転にもいくつかのパターンがあること、飲酒運転をより安易なものにする環境因について明らかになりつつある。また、家族は解決策の知識不足から長期にわたり悩んでいた。これらの現状は、飲酒運転対策の検討に非常に重要な情報となるが、これらの要因をより明確にするため、次年度さらにインタビュー調査と分析を進めていく必要がある。
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