2年目にあたる本年度は、前年度からの調査を引き続き行うとともに、アメリカでのフィールド調査を行った。 1.インタビュー調査:2007年12月から2008年8月まで、大阪府下にて対象者の勧誘を行い、アルコール依存症者本人8名、依存症者の配偶者5名の協力者を得た。この13名に対して飲酒運転に関するインタビューを個別に実施した。分析により、(1)依存症が深まる段階で異なった様態での飲酒運転が行われていたこと、(2)配偶者は家族の酒に悩んでいても、依存症が深刻化するまで飲酒運転自体には目が向きにくいこと等が明らかとなった。 2.アメリカ・テキサス州の飲酒運転対策の調査:2008年9月にテキサス州を訪問し、DUI裁判、保護観察局、被害経験者によるプログラム等を見学、また、担当者への聞き取りを行い、常習飲酒運転抑止策とそれを支える制度、土壌を理解した。 3.本年度の研究の意義:本年度の研究の最たる意義は、同じ「飲酒運転」でも依存症の進行段階により本人・家族・周囲の問題の認識は大きく異なるため、飲酒運転違反者に対しては、飲酒運転状況(違反・事故の度合い等)そのものよりも飲酒状況から問題を判断し、それに合わせた介入の必要性がより明確になったことである。さらに、アメリカでの調査から、その介入タイミングや方法を具体化するための示唆を得ることができた。 ただし、インタビューデータは分析の途上であり、今後、新たな知見が出次第、学会等で成果報告をしていく予定である.
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