研究概要 |
当科で保存されていた骨肉腫患者93例のDNAに加え、患者群と性、年齢のマッチングを行った健常人ボランティア188例のDNAをコントロールとして使用した。PCR-RFLP法を用いてRFC 1 A80G,MTHFR C677T,MTHFR A1298CのSNPを検出した。Hardy-Weinberg平衡が保たれているかを検討したところ、MTHFR A1298Cについてはコントロール群で保たれていなかったため、この系でのSNPの検出に問題がある可能性があると判断し、今後の検討から除外した。骨肉腫患者におけるRFC1のSNP分布は健常人と比較して有意な差を認めたが、MTHFR C677Tについては差を認めなかった。これまでの結果から、日本人の骨肉腫患者ではRFC-1のposition80にallele AAを持つ群が有意に多いことから、RFC-1のこのSNPが骨肉腫の発生機序に何らかの影響を及ぼしていることが示唆された。骨肉腫の発生には様々な遺伝子の関与が報告されてきたが、SNPの報告はこれまでないため、骨肉腫の発生や進行に関する研究に新しい方向性を見いだせる可能性がある。今後、これらのSNPと臨床データ(メソトレキセート血中濃度、経時的な血液所見、組織学的効果判定、生命予後)との関連を調査し、RFC 1 A80G,MTHFR C677TのSNPによりメソトレキセートの臨床的な効果、副作用の予測が可能かを検討する予定である。
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