現在までに、膵癌癌幹細胞を同定するため、手術切除標本より採取した膵癌組織からCD133陽性細胞、CD44陽性細等をFACS解析、およびセルソーティングにより純化し、その細胞中の発現解析をFACSおよびqRT-PCRにより進め、有望な新規癌幹細胞マーカーを幾つかリストアップしている。また、膵癌細胞株においても、既存マーカーによる純化をセルソーティングにより行い、その機能解析を進め、in vivo、in vivo、in vitroにおいてそのphenotypeの違いを検討した。さらに、この純化した細胞集団の細胞増殖能やゲムシタビンを含む複数の抗癌剤に対する治療抵抗性、放射線照射に対する治療抵抗性などを検討し、その細胞集団の特性の違いを複数の評価手法で認めた。現在さらに、そのphenotypeの相違の原因となる責任分子をマイクロアレイ解析の結果に基づいて選択し、その機能的役割を明らかにすべくRNAiにより抑制実験を行っている。また、癌幹細胞に影響を与えると考えられる周囲間質細胞のprimary cultureをルーチンで行い、10種類以上の培養細胞樹立してきた。また、特に癌幹細胞と強い相互作用をしめす間質細胞の同定を共培養実験を利用して進め、その表面マーカーの発現をFACSにて解析した。その結果、複数の表面マーカーがリストアップされており、今後さらにその表面マーカーに基づいて、間質細胞を純化し、その細胞集団と癌幹細胞との相互作用を検討する。
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