研究の目的 cyclophosphmide(CP)誘導性免疫寛容系では、1×10^8個アロ脾細胞投与の2日後に200mg/kg CP投与の処置により、MHC一致・minor抗原非一致のドナー・レシピエント間において、混合キメラとドナー皮膚移植片の永久生着が認められる。今年度は、キメラマウスに認められるsuppressor CD8 T細胞の機能を解析した 具体的内容(結果) (1)DBA/2をドナー、BALB/c(WTまたはNKT KO)をレシピエントとして、上記の寛容誘導処置後にドナー皮膚移植を行った。移植12週後に脾細胞および末梢リンパ節を摘出し、CD4またはCD8T細胞をMACSでsortingし、第二レシピエントのBALB/cマウスに投与しドナー心移植を行うことで、CD4またはCD8Tが単独で寛容誘導維持ができるかを確認した。DBA心移植片は、キメラマウスのCD8T細胞の移入では観察されたがキメラマウスのCD4T細胞の移入では観察されなかった。 (2)IL-10は免疫抑制性のサイトカインとして知られており、CD8T細胞はこのIL-10を介して免疫抑制性作用を示すことが報告されている。IL-10KOマウスでは寛容誘導処置でキメラと皮膚移植片の生着が成立した。キメラ成立後IL-10KOマウス、キメラ成立後WTマウスのCD8T細胞をTsuppとし、untreated WT CD4T細胞をresponderとしてMLRを行うと、両者では同様の抑制性作用をみとめた。すなわち抑制性CD8T細胞のIL-10は必須ではなかった。しかしキメラ成立後WTマウスのCD8T細胞をTsuppとし、untreated IL-10KO CD4T細胞をresponderとした場合、抑制効果は認められなかった。 意義・重要性 本実験系では抑制性CD8T細胞が認められ、抑制性作用はCD4T細胞のIL-10産生を介することが示唆された。
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