研究課題
著明な浸潤性増殖と血管新生を特徴とする悪性脳腫瘍である膠芽腫について、新規機能遺伝子を同定し、悪性形質を制御する分子標的を探索することを目的として研究を行った。これまでのIGFBP-2とCD24の膠芽腫における機能解析をさらに進め、そこに関与する因子の解析を行った。IGFBP-2の抑制により膠芽腫細胞の浸潤は抑制され、強制発現により増強した。CD24はIGFBP-2の発現に連動して発現が変動し、CD24の抑制により膠芽腫細胞の浸潤は抑制され、強制発現により増強した。これらの傾向はin vitroのみならずヌードマウス脳への腫瘍移植実験でも同様の結果が得られ、IGFBP-2、CD24が膠芽腫の悪性形質促進因子であることがわかった。また、IGFBP-2およびCD24の発現が薬剤耐性や放射線治療耐性へ関与する可能性を検討した。薬剤耐性については、数種の抗癌剤に対する膠芽腫細胞の感受性にIGFBP-2、CD24の関与が疑われたが、放射線感受性については大きな関与は認められなかった。さらに、cDNAマイクロアレイによって渉猟されたIGFBP-2と連動して変動するCD24以外の遺伝子について、ノックダウンを行った。さらに、CD24ノックダウン細胞とコントロール細胞からmRNAを抽出し、遺伝子発現プロファイルをcDNAマイクロアレイによって比較解析し、c-Met、Rab23をはじめとして約30の遺伝子をCD24の発現量によって影響を受ける遺伝子候補として同定した。今後解析を進め、膠芽腫の悪性形質に関与し、治療標的となりうる候補遺伝子を絞り込んでいく。
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