チタンは硬組織代替用材料として整形外科、口腔外科、歯周外科領域に広く応用されており、チタンの臨床応用は年々増加傾向にある。一方、アパタイトは生体活性材料として、近年めざましい研究・開発がなされているが、両者を複合しアパタイトコーティングしたチタンインプラントは、臨床的に一部利用されている。今回の研究は、チタン表面にユニークな表面形状を持たせ、その表面に独自の手法でアパタイトを低コストでコーティングし、この改質基板上での骨芽細胞の挙動を解明することが目的である。 純チタンを硫酸、水酸化ナトリウム水溶液中で浸漬させ、表面改質を施した。基板となるチタンは、均一性を持たせるため、本研究で規格化された手法で行い作製した。チタンの表面粗さを測定し、均一性の保たれる基板作製を行うことができた。今回、酸アルカリ複合処理した純チタン板に0.5M CaCl_2、 0.1M Na_2HPO_4水溶液に浸漬時間60秒間、20サイクルの交互浸漬し、アパタイトコーティングを行った。基板上のアパタイト成分分析を走査型電子顕微鏡、エックス線解析装置、フーリエ変換分光光度計を行い元素分析を同定し、チタン表面上に、アパタイトの付着が確認された。交互浸漬による手法で、低コストによるアパタイト形成能が示された。 培養細胞は骨芽細胞様細胞(MC3T3-E1)を用い、培地は10%FBS含有α-MEMを使用。細胞培養を繰り返し行い、細胞傷害性、増殖をAssay kitにて測定し、増殖傾向性を確認した。新たな基板での良好なin vitro実験を行う環境を見出した。
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