研究概要 |
【研究目的】固形腫瘍の増殖に伴い形成される低酸素状態の癌は,放射線療法および化学療法に対する抵抗性を獲得する為に,主要な再発原因の1つである.本研究は、この低酸素状態の乳癌に対するモノクローナル抗体を樹立し,その抗体を利用した治療法および診断法を開発することを目的とする。 【研究戦略】低酸素培養した乳癌細胞をマウスに免疫し,脾細胞とミエローマ細胞をPEGを用いて細胞融合することにより、低酸素状態の乳癌特異的なモノクローナル抗体産生ハイブリドーマ・ライブラリーを作製する。低酸素培養した細胞を用いてスクリーニングを行い,得られた抗体の種類に応じてELISA法による診断法および抗体を修飾した遺伝子ベクターを用いた治療法を開発することを最終目的とする. 【平成19年度の研究概要】 ○低酸素培養した乳癌細胞(MCF-7)の免疫による抗体産生ハイブリドーマ・ライブラリーの作製 ○抗体コンジュゲート型アデノウイルスベクターを用いたハイブリドーマのスクリーニング 免疫マウス3匹分のハイブリドーマ・ライブラリーをアデノウイルスによる遺伝子導入を指標として,スクリーニングを行い,7個のモノクローナル抗体を樹立した. しかし,いずれの抗体も通常条件下で培養した乳癌細胞に対しても反応性を示し,低酸素特異的な反応性は認められなかった.現在,抗体産生ハイブリドーマ・ライブラリーに対して,低酸素培養細胞と正常条件下で培養した細胞を比較しながら,FACS解析によるスクリーニングを行っている.
|